今さら『キック・アス』を観たわけです

2011/08/03


いやあ、楽しかった。あれだけ背徳的なのにあれだけ爽快感があって、しかも瑞々しい映画は珍しいんじゃないでしょうか。
人がバンバン死ぬんだけど、青春映画としての基本はちゃんと押さえてあって、しかもコミックとしてのツボも外していない。もちろんスーパーヒーロー映画としてのテーゼも解りやすい形で溶解させている。それは一見するとアンチテーゼのように見えるけれども、そうではなくて、むしろストレートなメッセージになっている。



所詮ヒーローなんて....などという中途半端な大人目線じゃないんだよね。
例えば、映画『スパイダーマン』にある「大いなる力には大いなる責任がともなう」という、大いに“政治的な言葉”に対して、「力のないものには責任がないのか」という、さらに現実的に(あるいは民主主義的に)踏み込んだセリフを、主人公に述べさせていることでも象徴的によくわかる。

その通り。
映画ってアメリカの行った3S政策からこちら、ずっと政治的な存在であり続けていたわけだけど、責任は「力ある者にだけともなう」わけじゃない。民主政治においては一票を投じる(投じた)力なき有権者ひとり一人に責任がともなうんだよ。

今の民主党を見ればいい。末期のような日本政治の責任は、民主党を支持した有権者すべてが等分に対価を支払わなければならない。それが民主主義の原則。
それを自覚している日本人がどれだけいるんだろうか。民度イコール政治。それが現実。



その視点でもまた、『キック・アス』を見てほしい。
虚像のヒーロー『キック・アス』を支持した無責任な“有権者”さえ、きちんとしたキャラクターを持って浮かび上がってくる。

パロディじゃないんだ。テーゼなんだ。そのバランス感覚を、これだけうまく作り上げた映画はそうあるもんじゃない。

邦画でいえば『ゼブラーマン』の一作目がやや近い視線を持っていた(?)かもしれないけど、あれは大人目線のナルシスに陥りすぎていて、多目的視点を用いきれてない。いわば落ちぶれたビッグダディだけの一人称の映画。
それに比べて、映画『キック・アス』の多様な視点と瑞々しさはどうだろう。注目を浴びる「ヒットガール」はもちろん素晴らしいけど(大好きすぎるけど!)、やはりこの映画の主人公は、ヲタ少年デイヴの『キック・アス』でなければ成立しないんだよね。

もう、ヒーロー作品としての最大限の賛辞を贈りたい。
話題に一年乗り遅れたけど、いい映画はいつでも素晴らしい。

ちょっと誉めすぎたかな。



(kick-ass.jp)

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Comment
はじめまして!
はじめまして、黒糖さん。コメントありがとうございます。

こちらのサイトはつい放置してしまうことが多くて、コメントに気付かず失礼しました。

ほんと、そういうの抜きにしても最高に面白い映画でした。ヒットガールは可愛すぎです。
続編には多少の不安も感じますけど、期待して続報を待ちたいところです。

クロエ・モレッツちゃんといえば、マーティン・スコセッシ監督の「ヒューゴ」の公開が控えていて、個人的に期待しています。
はじめまして。
いつも付録部の方を拝読していたのにこちらのリンクに今更気付いてやってきました。
私もつい先日キック・アスを見たところだったので驚きです。
ふざけた調子の音楽に合わせたスプラッターシーンが最高に笑える(そしてヒットガールが可愛すぎる)コメディとしてしか見ていなかったので、政治的な視点というのは目から鱗でした。
そういうの抜きにしてもほんとに面白い映画だと思います。
続編も公開されるようですし、楽しみですね。

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